「ちゃんと説明したのに、なぜか伝わっていない」
「言葉を足すほど、話が長くなってしまう」
そんなときは、説明力が足りないのではなく、言葉だけで全部を運ぼうとしているのかもしれません。
今回の「人生おもしろ実験室」では、家族や友人と10分だけ、声や文章を使わずに日常のメッセージを伝えてみます。使うのは、表情・絵・動きの3つです。
結論を先に言うと、この実験の目的は「一発で正解させること」ではありません。
どの手段が何を伝えやすく、どこで意味がずれるのかを発見することです。

「話す」以外の伝え方に注目が集まる
東京都は「TOKYOみみカレッジ2026」の情報を公開しました。イベントは、聴覚障害や手話への理解を深めることを目的に、2026年11月3日に開催されます。
案内には、手話・ジェスチャー・表情などで楽しむ「言語フリーなボードゲーム」、視覚や身体全体でメッセージを感じるパフォーマンス、読話や情報保障に関する企画などが並んでいます。
ここから受け取れるのは、単に「言葉を使わないと面白い」という話ではありません。伝える手段は一つではなく、相手や状況に合わせて組み合わせる必要があるということです。
厚生労働省の対応要領でも、意思疎通の方法として、手話、筆談、実物の提示、身振り、絵カードなど複数の手段が挙げられています。
さらに、理解されたことを確認しながら応対する例も示されています。
なお、本記事の実験は、聴覚障害や聞こえ方の疑似体験ではありません。
手話や字幕、筆談、情報保障、合理的配慮を置き換えるものでもありません。
あくまで、自分の伝え方の選択肢を増やすための小さな観察です。
くろさら目線:言葉を増やすほど、伝わらなくなる夜がある
仕事でも家庭でも、相手の反応が薄いと不安になって、説明を追加したくなりますよね。
背景を話し、例を足し、念のため注意点も入れる。
すると、いちばん伝えたかった「何をしてほしいか」が、言葉の奥に沈んでしまいます。
そんな場面で役立つのは、話し方の技術だけではありません。
- 疲れていることは、表情で伝わりやすい
- 場所や位置関係は、絵のほうが早い
- やってほしい動作は、実際に示すと分かりやすい
言葉を少し休ませると、情報の種類ごとに向いている伝え方が違うと気づけます。
短い言葉へ整える練習をしたい場合は、「バナナ100文字」から学ぶ“伝える力”も参考になります。
ビジナスの整理:「表情・絵・動き」は得意分野が違う
ビジナスは、3つの方法を次のように整理します。
| 方法 | 伝えやすいもの | ずれやすいもの |
|---|---|---|
| 表情 | 気分、温度感、賛成・戸惑い | 時刻、場所、数量 |
| 絵 | 位置関係、形、順番、具体物 | 細かな条件、抽象的な意図 |
| 動き | 行動、方向、速さ、手順 | 固有名詞、複雑な理由 |
大事なのは、どれか一つを万能だと思わないことです。
ビジナス「感情は表情、場所は絵、行動は動き。最後は相手の理解を確かめるナス」
絵やジェスチャーも、文化や経験によって受け取り方が変わります。
だから、伝えた側が「分かりやすかったはず」と決めず、受け手がどう理解したかを確かめます。

10分でできる「言葉なし」実験
用意するもの
- 紙2〜3枚
- ペン
- タイマー
- 一緒に試す人1人以上
相手がいない場合は、自分でお題を一つ決め、30秒の無言動画を撮って、少し時間を置いて見返しても構いません。
ステップ1:日常のお題を1つ選ぶ(1分)
次のような、生活の中で使う短いメッセージを選びます。
- 明日、駅前で11時に会おう
- 冷蔵庫のプリンは食べないで
- 今日は少し疲れたので静かに過ごしたい
安全、健康、お金、重要な予定など、誤解すると困る内容は遊びのお題にしないでください。
ステップ2:表情だけで伝える(1分)
最初は表情と視線だけを使います。手や道具は使いません。
受け手は、分かった内容を紙へ一言で書きます。ここでは正解をまだ明かしません。
ステップ3:絵だけで伝える(2分)
次に、文字や数字を書かずに絵だけで伝えます。
時計、地図、物の形などを自由に描きます。絵の上手さは関係ありません。
むしろ、簡単な線でどこまで届くかを見てみましょう。
ステップ4:動きだけで伝える(1分)
最後は、身振りや物を指す動きで伝えます。
相手の身体に触れる動きや、危険な動作は避けます。
ステップ5:受け手の理解を確かめる(3分)
3回分の回答を並べ、次の3点を話します。
- どの方法で、何が伝わったか
- どこで意味がずれたか
- 何を組み合わせれば、もっと正確になるか
「惜しい」「間違い」で終わらせず、そう見えた理由を聞くのがポイントです。
ステップ6:言葉を戻して完成させる(2分)
最後は言葉を禁止しません。
表情・絵・動きの中で役立ったものを残し、短い言葉を加えてメッセージを完成させます。
たとえば「明日、駅前で11時に会おう」なら、時計の絵と簡単な地図に、「明日」「11時」だけ文字を添える方法があります。
ここでの成功は、無言で全部を当てることではありません。必要な情報へ合う伝え方を選び、最後に確認できたことです。

仕事へ持ち帰るなら「見せる+一言+確認」
休日の実験で見つけたことは、月曜からの仕事にも使えます。
- 会議:数字の変化をグラフで見せ、結論を一言で添える
- 引継ぎ:操作を実際に見せ、相手に一度やってもらう
- 依頼:完成イメージを見せ、期限と判断基準だけ言葉にする
- 相談:困っている箇所を画面で指し、「ここまで試した」と伝える
話す内容を30秒へ整理したい場合は、会議で発言できない人へ|事実・意味・提案の30秒メモが使えます。伝わったことを記録へ残すなら、週報に書く成果がない?事実・工夫・次で残す5分の振り返りもどうぞ。
今日の小さな一歩
まずは、誰かへ頼みごとをするときに、言葉へ一つだけ視覚情報を足すことから始めてみてください。
完成例、写真、簡単な図、カレンダー、実物。どれか一つで十分です。
そして最後に、こう聞きます。
「どう理解したか、念のため教えてもらえますか?」
確認は相手を試すためではなく、伝え方を一緒に調整するためのものです。
まとめ

たくさん話すことが、丁寧さだと思い込むときがあります。
でも、絵を一枚見せたほうが早いこともありますね

伝える方法を増やして、受け手の理解を確かめる。
そこまで含めてコミュニケーションだ🍆
言葉を封印する10分は、言葉を捨てるためではありません。
言葉を、ほかの手段と上手に組み合わせるための実験です。


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