「ファイナンスとは?」「資産価値評価とは?」戦略的投資

ファイナンス・資産価値評価 学習ノート

今日も残業お疲れ様です。

ブラック企業勤続15年、エリート社畜の「くろサラ」です。

今日は「ファイナンスと資産価値評価」について記事をまとめていきます。

ファイナンスは企業の経営において非常に重要な役割を果たします。カンや経験、肌感覚だけで成功することは本当の天才しか出来ないですからね💲

過去記事でまとめた市場分析と合わせてファイナンスの考え方を理解して戦略的な投資が出来るよう学習しましょう📝

この講義では、ファイナンスの基本概念から資産価値評価、さらに投資意思決定の方法までをまとめます

ファイナンスの基本概念と資産価値評価

①ファイナンスの重要性

ファイナンス的視点を持つことは、企業経営において不可欠です

社畜として働く私達にとっても、社内での立ち回りを円滑に行うために必須知識となります。

近年、企業を取り巻く経済環境の変化により、ファイナンスの知識がより一層重要になっていると感じています。

具体的には、以下の二点が大きな影響を与えています

  1. 間接金融から直接金融への移行

企業が銀行などの金融機関を介して資金を調達する間接金融から、株式市場などを通じて資金を調達する直接金融への移行が進んでいます。

  1. 株式投資家からの圧力の増加

株主優先の経営が求められるようになり、株価の上昇や配当の増加が強く要求されるようになっています。

これらの背景から、企業価値を重視する経営が必要とされています。

企業価値とは、将来企業がどれだけの価値を生み出すかによって決まります。

価値を決めるのはお客様で、お客様は企業の提供する商品・サービスに対しての対価を支払う=「売上」であることを忘れないようにしましょうね!

ファイナンスの知識は、企業価値を評価し、それを高めるための戦略を考える上で重要です。

②キャッシュフローと金銭の時間的価値

ファイナンスの基本概念として、キャッシュフローと金銭の時間的価値があります。

キャッシュフローとは、企業活動の結果として発生する現金の流れのことです。

金銭の時間的価値とは、「今日の100円は明日の100円よりも価値がある」という考え方です。

これにより、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて評価します。

③アカウンティングとファイナンスの違い

・アカウンティングは過去の取引を集計して財務諸表を作成する

・ファイナンスは将来のキャッシュフローを予測して企業価値を評価する

アカウンティングの数値は会計基準に基づいていますが、ファイナンスはキャッシュフローに着目し、より客観的な評価を行います。

④キャッシュフローの評価方法

キャッシュフローの評価方法には以下のものがあります

  1. 売却金額 – 取得金額

短期運用目的の金融商品に適用されます。

  1. 分配金(利子、配当)

インカムゲインとも呼ばれます。

  1. フリー・キャッシュフロー(FCF)

事業やプロジェクトの価値を評価する際に用いられます。

キャッシュフローが安定的に推移する場合は、永久年金型、割増永久年金型、年金型の3つのパターンで評価します。

キャッシュフローの評価の考え方

例題)ある資産を以下の要領で売却することになりました。年度ごとにキャッシュフロー表を作成してください。

  • 1年後に100万円、3年後に300万円、5年後に500万円と分割して売却する。
  • 資産の維持費用として、毎年20万円の支出が発生する。

解説)各年度のキャッシュ・イン、キャッシュ・アウトを以下のようにまとめます。

年度キャッシュ・インキャッシュ・アウトキャッシュフロー
1年目100万円20万円80万円
2年目0万円20万円-20万円
3年目300万円20万円280万円
4年目0万円20万円-20万円
5年目500万円20万円480万円

投資の意思決定

①投資の重要性

企業が事業を拡大したり、新たな分野に進出したりする際には、投資が不可欠です。

投資の意思決定は、企業の将来に大きな影響を与えるため、慎重に行う必要があります。

そのために自社を取り巻く市場環境を分析したり、自社の強みを理解して戦略的に行動計画を練る必要があります。

市場環境分析については過去記事を参考にしてください。

②投資判断ルール:NPV法とIRR法

NPV法(Net Present Value法)

 NPV法では、投資によって得られるキャッシュフローの現在価値から、投資に伴うキャッシュフローの現在価値を差し引いた金額を計算します。

NPVがプラスならば投資を実行し、マイナスならば投資を見送ります。

IRR法(Internal Rate of Return法)

 IRR法では、投資の収益率を計算し、その収益率が企業の要求するハードル・レートを上回るかどうかで投資の可否を判断します。

IRRがハードル・レートを上回れば投資を実行し、下回れば投資を見送ります。

投資の意思決定の考え方

例題)以下のキャッシュフローが想定されるプロジェクトを実施すべきか検討してください。

  • 今期、500万円の投資を行う。
  • 売上が上がるのは今期から。今期は年間100万円の利益、以降は毎年5%ずつ利益が成長すると見込む。
  • プロジェクトの終了は今から10年後。

解説)このプロジェクトのNPVを計算します。割引率を10%と仮定します。

  1. 各年度のキャッシュフローを計算します。
  2. キャッシュフローを現在価値に割り引きます。
  3. NPVを計算します。
年度キャッシュフロー割引率現在価値
0年目-500万円1.00-500万円
1年目100万円0.90990.9万円
2年目105万円0.82686.7万円
3年目110.25万円0.75182.8万円
4年目115.76万円0.68379.0万円
5年目121.54万円0.62175.5万円
6年目127.61万円0.56472.0万円
7年目134.00万円0.51368.8万円
8年目140.70万円0.46765.7万円
9年目147.74万円0.42462.6万円
10年目155.12万円0.38659.9万円

NPV = -500 + 90.9 + 86.7 + 82.8 + 79.0 + 75.5 + 72.0 + 68.8 + 65.7 + 62.6 + 59.9 = 243.9万円

このプロジェクトのNPVがプラスであるため、投資を実行すべきです。

事業価値評価と資本コスト

①事業価値評価のアプローチ

事業価値評価には3つの主要なアプローチがあります

  1. コストアプローチ

新たに事業を作るためのコストから価値を評価します。

  1. マーケットアプローチ

類似事例を参考にして市場価格を推定します。

  1. インカムアプローチ

将来の収益から現在価値を計算して価値を評価します。

事業価値評価の考え方

例題)DCF法を用いて以下のキャッシュフローを持つ事業の価値を求めてください。割引率は10%とします。

年度キャッシュフロー
1年目1000万円
2年目1500万円
3年目2000万円
4年目2500万円
5年目3000万円

解説)各年度のキャッシュフローの現在価値を計算し、合計します。

年度キャッシュフロー割引率現在価値
1年目1000万円0.909909万円
2年目1500万円0.8261239万円
3年目2000万円0.7511502万円
4年目2500万円0.6831708万円
5年目3000万円0.6211863万円

事業価値 = 909 + 1239 + 1502 + 1708 + 1863 = 7221万円

WACCの算定と最適資本構成

①WACC(加重平均資本コスト)

WACCは、企業の資金調達コストを加重平均して算出する指標です。

WACCの計算には、負債コストと株主資本コストを用います

WACCの算定の考え方

例題)以下の条件でWACCを計算してください。

  • 負債比率:40%
  • 株主資本比率:60%
  • 負債コスト:5%
  • 株主資本コスト:10%

解説)WACCは以下の式で計算します。

WACC=負債比率100×負債コスト+株主資本比率100×株主資本コストWACC = \frac{負債比率}{100} \times 負債コスト + \frac{株主資本比率}{100} \times 株主資本コストWACC=100負債比率​×負債コスト+100株主資本比率​×株主資本コスト

WACC=0.4×5%+0.6×10%=2%+6%=8%WACC = 0.4 \times 5\% + 0.6 \times 10\% = 2\% + 6\% = 8\%WACC=0.4×5%+0.6×10%=2%+6%=8%

企業価値と株式価値

①企業価値の構成要素

企業価値は、事業価値と非事業価値から構成されます。

事業価値はDCF法で評価され、非事業価値は市場価値や帳簿価値で評価されます。

企業価値評価の考え方

例題)以下の条件で企業価値を計算してください。

  • 事業価値:5000万円
  • 非事業価値:1000万円
  • 純負債:2000万円

解説)企業価値は以下の式で計算します。

企業価値=事業価値+非事業価値−純負債企業価値 = 事業価値 + 非事業価値 – 純負債企業価値=事業価値+非事業価値−純負債

企業価値=5000万円+1000万円−2000万円=4000万円企業価値 = 5000万円 + 1000万円 – 2000万円 = 4000万円企業価値=5000万円+1000万円−2000万円=4000万円

企業価値評価の諸論点

①残存価値の算定

残存価値は、予測期間後のキャッシュフローをまとめて評価する方法です。

継続法や清算法を用いて算出します。

残存価値の算定の考え方

例題)以下のキャッシュフローが予想される事業の残存価値を継続法で算定してください。割引率は5%とし、成長率は2%とします。

年度キャッシュフロー
1年目1000万円
2年目1500万円
3年目2000万円
4年目2500万円
5年目3000万円

解説)5年目以降の残存価値を計算します。

残存価値=5年目のキャッシュフロー×(1+成長率)割引率−成長率残存価値 = \frac{5年目のキャッシュフロー \times (1 + 成長率)}{割引率 – 成長率}残存価値=割引率−成長率5年目のキャッシュフロー×(1+成長率)​

残存価値=3000万円×1.020.05−0.02=3060万円0.03=1億200万円残存価値 = \frac{3000万円 \times 1.02}{0.05 – 0.02} = \frac{3060万円}{0.03} = 1億200万円残存価値=0.05−0.023000万円×1.02​=0.033060万円​=1億200万円

まとめ

この記事では、ファイナンスの基本概念から資産価値評価、投資意思決定の方法までをまとめました。

これらの知識を活用することで、企業価値を正確に評価し、効果的な投資戦略を立案することが可能になります。

例題に対する具体的な解説を通じて、理解を深めることができたでしょうか。

この記事だけで理解することは難しいと思いますので、ぜひ実践しながら身につけていきましょう!

以上、お疲れ様でした。質問があれば、是非、コメント欄にて、お願いします。

今日も明日も明後日も、理不尽なこの社会と会社に負けないで、頑張っていきましょうね!

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