80億円分をBTCで調達、事業再生からの“暗号資産シフト”
注目のポイント
- ビットコイン建ての第三者割当増資は日本初
- ANAP、115億円のうち80億円分をBTCで調達
- 中長期の値上がり益を期待し財務体質を強化
- 決済・投資・関連事業への展開も視野に
ANAPが「暗号資産企業」へ大きく舵を切る
カジュアル衣料製造のANAPホールディングス(東証スタンダード上場)は6月9日、暗号資産ビットコイン建てによる第三者割当増資を発表しました。
発表によると、今回の調達額は総額約115億円で、うち80億円をビットコイン建てで受け取り、残りの35億円は円建てで後日BTCに転換される予定です。
このスキームは、日本国内においてビットコインを基軸通貨として直接調達に使用する初の事例となります。
増資の詳細と背景
今回の増資には以下の2社が応じます
- キャピタルタイフーン(投資ファンド):ビットコイン80億円分で払い込み
- ネットプライス事業再生合同会社:円建て35億円分で払い込み予定
増資は7月18日の臨時株主総会で承認後、22日に正式実行される見込みです。
ANAPの湯浅慎司社長は次のようにコメントしました:
「ビットコインは今後も価値上昇が期待され、決済・投資・企業買収の手段として世界的に普及している。当社も暗号資産を軸にした経営基盤を構築していきたい」
なぜビットコイン建て増資なのか?
ANAPは2024年4月からビットコインの保有を開始しており、株式市場でも“ビットコイン関連銘柄”として注目を集めています。
先行するメタプラネット同様、暗号資産保有による含み益やファンダメンタル再評価を目指す戦略です。
また、アパレル子会社でのBTC決済導入など、実用的なユースケースにも踏み込んでおり、単なる投機目的ではなく実需と資産運用のハイブリッド活用を強調しています。
財務再建の延長線上にある“BTC戦略”
ANAPはこれまで数年間にわたり最終赤字が続いていましたが、2024年11月の事業再生ADR手続きによって債務超過を解消。
その後、財務再建フェーズから成長戦略フェーズへと舵を切る中で、暗号資産を活用した増資という新しい道を選びました。
今後は、以下の分野での展開が見込まれます:
- BTCの長期保有による財務強化
- ブロックチェーンを活用したサプライチェーン効率化
- Web3関連事業(NFT、ウォレット統合決済など)への進出
【まとめ】暗号資産は“企業価値のレバレッジ”となるか
ビットコイン建ての増資は、株式市場においても企業価値評価のパラダイムを揺るがす可能性を秘めています。
ANAPの試みは、金融・テクノロジー・消費者ビジネスをまたぐ日本企業の暗号資産活用の先例として、大きな注目を集めるでしょう。
今後の株価動向はもちろん、ANAPがどのように暗号資産と本業を融合させていくのか、そのビジネスモデルの進化にも注目です。
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